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動脈血ガス分析は、低酸素血症、高炭酸ガス血症、および酸塩基平衡障害を評価し、小動物臨床では無麻酔で実施可能な唯一の呼吸機能を定量できる検査法です。
血液ガス分析は疾患を特定するものではありませんが、「肺がいかによく動いているか」という肺機能の包括的指標となります。

pH:全体としての酸塩基平衡状態の結果を示します。生体内でのhomeostasisによりpHは非常に狭い範囲に維持されています。一般に急性期で正常範囲を逸脱し、慢性期で正常範囲を維持します。肺機能が障害されている場合、腎機能で代償されpHを正常化させます。

Paco2(動脈血炭酸ガス分圧):肺から炭酸ガスの排泄が十分行われているかどうか、つまり換気状態を評価します。換気量は主にPaco2値によって調節されています。Paco2が低下する状態のことを過換気といいます。これは間質性肺疾患の診断に役立ちます。

Pao2(動脈血酸素分圧):血中に存在する酸素の総量を反映します。Pao2は動脈血に溶解している酸素の分圧を示します。肺機能定量の直接の指標です。低酸素血症とはPao2が80 mm Hg未満であることをいいます。Pao2が70-79mm Hg を軽度、60-69 mm Hgを中等度、45-59 mm Hgを重度、45 mm Hg未満を重篤の低酸素血症と分類されます。Pao2が60mmHgを下回ると、ヘモグロビンと酸素の結合力が急激に低下し、末梢組織への酸素運搬量が急激に減ります。したがって、Pao2は様々な判断基準となります。

[HCO3–]とBase Excess:代謝性の酸塩基平衡状態を表現します。主に腎からの不揮発性酸の排泄の状態を反映します。慢性呼吸器疾患では代償性に上昇します。

AaDo2:酸素化能の指標としてよく使用されます。肺胞気酸素分圧と動脈血酸素分圧の差を意味します。シャント、拡散障害、換気血流比不均等で開大します。PIo2の低下や肺胞低換気では開大しません。

このように重度の肺炎や肺水腫などの呼吸器疾患および腎不全やケトアシドーシスなどの代謝性疾患では非常に有用な検査となります。