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2025.10.27
麻布台院青井院木場院アレルギーセンター
泌尿器科

【獣医師監修】犬や猫の腎臓病、実は「腸内細菌」がカギ?

#ホームケア
【獣医師監修】犬や猫の腎臓病、実は「腸内細菌」がカギ?

私たち獣医師が日々診療している中で、特に多いのが「腎臓病(じんぞうびょう)」のご相談です。  

慢性腎臓病(CKD)は進行するとおしっこをつくる機能が落ち、体内に毒素がたまっていく病気ですが、じつはその毒素は腸内細菌が深く関係しているかもしれないということが、近年ヒトや動物の研究からわかってきました。  

腸で生まれる「尿毒素」が腎臓を悪くさせる?

腸では、食べ物を分解するだけでなく、細菌がいろいろな代謝物をつくっています。特に「悪玉菌」が増えると、インドールやp-クレシル硫酸などの「尿毒素」がつくられます。  これらの物質は腸管から血液中に入り、腎臓の働きを邪魔するほか、心臓や血管にも悪影響を与えます。  

つまり、腸内環境の乱れは腎臓の負担に繋がる可能性があるのです。  

また腎機能が落ちた犬や猫では、腸内フローラ(腸内細菌の集まり)が乱れ、善玉菌(ビフィズス菌や乳酸菌など)が減って、毒素を生み出す細菌が増える傾向にあります。  

この変化がさらに腎臓病を悪化させるという「悪循環」に陥ってしまうのです。  

腸と腎臓をつなぐ「腸腎連関」  

近年注目されているのが、「腸腎連関(gut-kidney axis)」という考え方です。  「腸内環境が乱れる → 腸のバリア機能が弱まる → 有害物質が体内へ → 腎臓がダメージを受ける」この流れが続くと、腎臓病の進行が早まってしまいます。  
逆に言えば、「腸を整えることが腎臓を守る一歩になる」のです。  

腸内環境を整えるためのポイント  

腎臓病の予防や進行抑制には、「腸にやさしい生活」を心がけることがとても大切です。  以下のようなことを意識してみましょう。  

バランスのとれた食事を心がける

高タンパクすぎない食事や、腸内の善玉菌のエサとなる食物繊維をバランスよく摂りましょう。療法食(腎臓サポート食)なども選択肢になります。

プロバイオティクスを活用

乳酸菌やビフィズス菌のサプリメントなどで、善玉菌を増やすサポートができます。当院でも犬猫の為のプロバイオティクスやプレバイオティクスが含まれる腸活サプリを用意しています。​

十分な水分摂取

水分摂取により便通を良く保つことで腸内細菌も悪化しにくくなります。またそもそも水分摂取は腎臓病において大切な予防策になります。

抗菌薬やストレスに注意

抗菌薬は悪玉菌だけでなく善玉菌も減らしてしまう場合があります。また、ストレスも腸の動きを不安定にするため、できるだけリラックスできる環境づくりをしてあげましょう。

まとめ  

腎臓病は「腎臓だけの病気」ではなく、「腸内環境」と深くつながっている病気です。  
腸を整えることは、腎臓を守るだけでなく、犬や猫の健康全般を支える大切な要素になります。  毎日の食事や生活環境を少し見直すことで、愛犬・愛猫の腸と腎臓、どちらも元気に保っていきましょう。  

監修

川野浩志(獣医学博士、日本獣医皮膚科学会認定医)

  • 東京動物アレルギーセンター センター長
  • 藤田医科大学 消化器内科学講座 客員講師