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2026.02.06
グループ藤沢院
腫瘍科

犬・猫の長引くクシャミ・鼻水は要注意|鼻風邪に隠れた「鼻腔内腫瘍」の可能性

#病気の解説

はじめに〜長引くクシャミ・鼻水は油断禁物

季節の変わり目、人でも鼻風邪をひいて鼻水が出ることは珍しくありません。では、動物たちの場合はどうでしょうか?

ご自宅のワンちゃんやネコちゃんが鼻水を垂らしていると、「寒かったのかな?ちょっとした風邪かな?」と思ってしまうこともあるかもしれません。しかし、実は動物の鼻水には思わぬ病気が隠れていることもあります。今回はそんな鼻水の原因について解説します。

受診を推奨する「注意すべき鼻水」のチェックリスト

動物の鼻腔にも人と同じく粘膜があり、急な温度差などで一時的に鼻水が増えることはあります。ただし以下のような場合は注意が必要です。

  • 数日以上、時間帯を問わず続く
  • 黄色〜黄緑色など粘性の強い鼻水
  • 鼻血が混じる
  • 片側からだけ出る

このような症状は一過性のものではなく、適切な診断や治療が必要となる病気のサインである可能性があります。

犬・猫の鼻水の原因となる主な疾患

鼻水が出る原因は、年齢や生活環境によって多岐にわたります。

対象考えられる主な原因
ワンちゃんケンネルコフ(感染症)、鼻腔内異物(草の種など)、歯周病、口鼻瘻管に伴う鼻炎(歯周病による骨の溶解によって口と鼻がつながってしまう状態)真菌、免疫異常(慢性炎症性鼻炎 / リンパ球形質細胞性鼻炎)、鼻腔内腫瘍
ネコちゃん猫風邪(ヘルペス・カリシウイルス)、鼻腔内異物、真菌、鼻腔内腫瘍

見逃されやすい「鼻腔内腫瘍」の診断と検査

鼻腔内に発生した腫瘍は一見腫瘍以外の鼻炎と間違われやすく、さらに外見から分かりづらいため、進行するまで気づかれにくい病気のひとつです。

  • レントゲン検査:鼻の構造を確認しますが、鼻水との区別が難しい場合があります。
  • CT検査(推奨):3D画像での評価が有効。腫瘍の広がりや骨の破壊を正確に評価できます。
  • 組織生検・病理検査:チューブや内視鏡で組織を採取し、確定診断を行います(全身麻酔下)。

犬と猫で異なる腫瘍の特徴と治療法

犬の鼻腔内腫瘍(鼻腺癌など)

犬では鼻腺癌が一般的です。進行すると嗅覚の消失や食欲低下、骨が溶けることで顔の変形や、脳に及ぶと痙攣が出ることもあります。

主な治療方法

状況に応じて以下を組み合わせます。

  • 外科療法:吸引装置を用いた腫瘍除去を行います。
    ※出血リスクあり、症状改善は早い傾向
  • 放射線療法:治療用放射線で腫瘍細胞を排除します。
     ※複数回麻酔が必要、時間はかかるが出血リスクなし
  • 化学療法:抗がん剤・分子標的薬を注射/点滴の実施、ないしは飲み薬を服用していただきます。
     ※麻酔不要だが効果は限定的で副作用リスクあり

猫の鼻腔内腫瘍(リンパ腫)

猫ではリンパ腫が代表的です。進行に伴い顔貌の変化や食欲低下が見られます。

主な治療方法

  • 放射線療法:リンパ腫は放射線感受性が高く良好な反応が期待できます
    ※複数回の全身麻酔が必要
    ※報告では平均生存中央値30ヶ月の例もあり(Valeria S Meier et al. 2019)
  • 化学療法:抗がん剤を用いた多くのプロトコルが存在し、一定の効果が認められています。

さいごに

このように、何気ない鼻水の裏に命に関わる病気が隠れていることも珍しくありません。当院では正確な診断と、ご家族に寄り添った最適な治療プランをご提案しております。
クロス動物医療センターは、些細な気づきや不安にも丁寧に対応いたします。まずはどうぞお気軽にご相談ください。

クロス動物医療センターグループ 獣医腫瘍科認定医II種 大山広朗