病気のコラム
2026.02.09
グループ藤沢院
腫瘍科
犬と猫の「しこり」はすべて腫瘍?良性と悪性(がん)の違いと見分け方
#病気の解説
はじめに
ワンちゃんやネコちゃんの体に「しこり」を見つけたとき、真っ先に「腫瘍(がん)かも?」と不安になるご家族様は多いはずです。 しかし、実は「しこり=腫瘍」とは限りません。虫刺されや毛穴の詰まり(脂肪の塊)など、腫瘍以外のできものも多く存在します。今回は、正しく知っておきたい「腫瘍の正体」について解説します。
そもそも「腫瘍」とは何か?
腫瘍とは、「体の中の細胞が、自律的かつ無目的に過剰に増殖したもの」を指します。
細胞は本来、必要なときだけ増え、役目を終えた細胞は処分されるというルールの中で生活しています。皮膚では、新しい細胞が下から生まれ、古い細胞は垢として落ちていきます。
しかし遺伝子にダメージが加わると、この仕組みが崩れ、細胞が増え続けてしまうことがあります。体がそれを止められなくなった状態が腫瘍の始まりです。
遺伝子にダメージを与える要因はさまざまで、放射線、化学物質、炎症、ウイルス、そして原因不明のものもあります。
ただし、ダメージを受けた細胞すべてが腫瘍になるわけではなく、体には「がんを抑える仕組み」も備わっています。ですがそのバランスが崩れたとき、腫瘍が進行することがあります。
【比較表】良性腫瘍と悪性腫瘍(がん)の違い
腫瘍は大きく「良性」と「悪性」に分けられます。それぞれの一般的な特徴は以下の通りです。
| 特徴 | 良性腫瘍 | 悪性腫瘍(がん) |
| 成長スピード | ゆっくり | 速いことが多い |
| 境目(境界) | はっきりしている | あいまいで、周囲に染み込む |
| 転移 | しない | 他の臓器へ転移する可能性がある |
| 命への影響 | 低い(場所による) | 極めて高く、致命的になり得る |
※見た目だけでは区別できず、良性とそっくりな場合も多しばしばあるため、適切な診断がとても大切です。
腫瘍の種類:なぜ「癌」や「肉腫」と呼び方が違うのか?
腫瘍は、どの細胞から生まれたかによって分類されます。大きく分けると次の2種類があります。
- 血液・骨髄系に由来する腫瘍
- 固形腫瘍
さらに固形腫瘍は以下の2つに細分されます。
- 上皮性腫瘍:臓器や皮膚など“表面を作る細胞”
上皮系腫瘍は悪性の場合、「〜癌」と表記されます。 - 非上皮性腫瘍:筋肉、骨、神経など“体を支える細胞”
非上皮性腫瘍は悪性の場合、「〜肉腫」と表記されます。
さいごに
動物のしこりに気づいたときは、自己判断せず、ぜひクロス動物医療センターにご相談ください。早く気づくことが、その子の未来を守ることにつながります。
クロス動物医療センターグループ 獣医腫瘍科認定医II種 大山広朗