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2026.02.11
藤沢院
腫瘍科

犬と猫の化学療法(抗がん剤治療)とは?|副作用への不安を希望に変えるために

#病気の解説

はじめに

「化学療法(抗がん剤)」と聞いたとき、多くの方が「とてもつらそう」「そこまでして延命させるのは……」という不安や葛藤を抱かれます。小さな体が副作用で苦しむ姿を想像するのは、ご家族として当然の反応です。
しかし、現在の獣医療における化学療法は、決して苦しさを強いるだけの治療ではありません。このコラムでは、化学療法の本来の目的と、進化した治療の選択肢について分かりやすく解説します。

化学療法の本当の目的:延命ではなく「生活の質の維持」

動物医療における化学療法のゴールは、単に寿命を延ばすことではありません。 「がんをコントロールすることで苦痛を取り除き、より良い生活(QOL)を維持する。その結果として、穏やかな時間がついてくる」 これが化学療法の本質です。当院では「副作用を最小限に抑えつつ、最大限の効果が出る量」を慎重に見極め、ご家族とワンちゃん・ネコちゃんが笑顔で過ごせる時間を最優先に治療を設計します。

化学療法は「抗がん剤」だけではない?3つのアプローチ

がんの種類や性質に応じて、使用する薬剤を使い分けます。

薬剤の種類特徴とメリット
抗がん剤がん細胞の遺伝子や細胞分裂の仕組みに作用し、増殖を抑制・停止させます。一方で、細胞分裂が盛んな正常組織(消化管、骨髄、被毛など)にも影響を与えるため、副作用が現れることがあります。
分子標的薬人医療でも注目されてきた治療薬です。がん細胞が増殖するために必要な特定の分子やシグナルを狙って阻害します。正常細胞への影響が比較的少なく抗がん剤に比べて副作用が軽いケースが多いのが特徴です。
消炎鎮痛剤(NSAIDs本来は痛み止めですが、特定のがん(移行上皮癌など)では増殖を抑える効果が認められています。

このように、体への負担が少ない薬剤を選択肢に加えることで、その子に最適な治療プランを組み立てることが可能です。

ご家族様に寄り添うクロス動物医療センター藤沢での治療

抗がん剤の投与には「静脈注射」「点滴」「飲み薬」がありますが、当院では特に「心のケア」を大切にしています。

  • リラックスした環境:点滴中、待合室でご家族が抱っこしたり、レンタルベッドで一緒に過ごしたりすることが可能です。
  • 短時間の処置:静脈注射であれば診察室で短時間で終わるため、治療後すぐにいつものお家に帰れます。

大好きなご家族のそばで、リラックスして治療を受けられることが、当院の大きな特徴です。

さいごに

たとえ副作用が生活の質を大きく損なわない場合であっても、化学療法を選択することは、ご家族にとって決して簡単な道のりではありません。
それでも、その治療の過程で過ごす時間は、愛すべき家族とのかけがえのない日々となることが多くあります。

治療を行うかどうか、どの治療を選ぶかに正解はありません。だからこそ、あらゆる選択肢について納得がいくまで話し合うことが大切です。どんな些細な疑問でも、どうぞクロス動物医療センター藤沢へご相談ください。

クロス動物医療センターグループ 獣医腫瘍科認定医II種 大山広朗