病気のコラム
ウサギの食事ガイド:主食からおやつまでの完全マニュアル【第4回】:食事量の注意点〜ペレットはどれくらいあげたらいい?〜
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ウサギの食事ガイド:主食からおやつまでの完全マニュアル【第3回】:生野菜をあげると下痢をする?気を付けたい生野菜の与え方
1.ペレットってなに?
ペレットはウサギに必要な栄養素がたっぷり含まれている『総合栄養食』です。
ウサギは本来、草木の繊維質を消化して盲腸内で発酵させ、『盲腸糞』という栄養価の高い便を排出し、再度食べることでビタミンやミネラルなどを吸収しています。
ペレットはこの『盲腸糞』を模して作られ、栄養価が高く消化吸収に優れた食事であり、ペレットと水だけ与えていれば生きていけるように作られています。
しかし、栄養吸収効率が良すぎるために肥満になったり、ウサギ本来の消化吸収機能を発揮できずに病気の原因となることもあり、健康的にウサギらしく生活を送る上ではペレットに頼りすぎる食生活は推奨できません。
バランスよく栄養を摂るために、補助的に使用していきましょう。
ペレットの主原料は粉状にした牧草であり、そこに必要な栄養素を添加して作られています。
中には嗜好性を高めるために果物のフレーバーがついたものや、デンプンが多く含まれたものもあり、たくさんの種類があるので成分表記を見ながらお家の子に合わせた種類を選びましょう。
2.市販されているペレットの種類
ペレットは硬さで分けるとハードタイプとソフトタイプがあります。
ハードタイプは硬く、繊維質が凝縮されたペレットです。ペレットをかみ砕く動きは上下の歯をかみしめる動きのため、歯根部に負担がかかることもあります。
長期的にメインで与えるのであれば、ソフトタイプを推奨します。ソフトタイプは人間の手で潰せるくらいの硬さのため、歯根部への負担は少ないです。
ウサギの歯を摩耗させるために硬いものが必要、と思われがちですが、実は硬いものを食べても歯が削れるわけではありません。
ウサギは上下の歯を臼のようにこすり合わせることで臼歯を摩耗させているので、ペレットを食べる顎の動きでは臼歯は削れないのです。
したがって、ペレットは硬すぎるものよりもソフトタイプのものを推奨しています。
また、ペレットの主成分は牧草ですが、チモシーベースのものとアルファルファベースのもの、ミックスされたものなどがあります。
アルファルファベースのペレットは栄養価が高いので、子ウサギや母ウサギ、高齢で栄養が必要な子に与えましょう。
健康な大人ウサギであれば栄養のとりすぎを控えるためにチモシーベースを与えましょう。
ウサギの飼料に関する成分表記は犬猫と比べると基準が曖昧だったり、細かい規定が無かったりします。
したがって、細かい成分を見て選ぶことは難しいのですが、成分表の一番先に牧草が記載してあるものを選ぶことを推奨しています。
フレーバーがついているものは嗜好性が高く作られているので、好むウサギも多いですが、それに慣れてしまうとフレーバーがついていないペレットを一切食べなくなります。
可能なら出来るだけ牧草メインででんぷん質が少なく、フレーバーがついていないものを主食にしましょう。
3.ペレットの与えすぎで起こる弊害
栄養価が高く消化吸収効率も良い、一見完璧な食事にも見えますが、ペレットだけに偏った食事は推奨できません。
消化吸収効率は良いですが、ウサギ本来の『消化管を二度通らせて体内で栄養を作り、再度消化吸収を行う機能』を使用せずに栄養を摂取できてしまうので、消化管の働きが弱くなりやすいからです。
では、ペレットを与えすぎるとどのような影響が出るのか説明していきます。
ペレットは水分量や繊維質が少なく、カルシウムなどの栄養素が豊富に含まれているので、与えすぎると肥満や尿路結石の原因となります。
ウサギは尿中にカルシウムを多量に排泄する動物のため、過剰摂取により腎臓・尿管・膀胱内に結石ができたり、膀胱内に砂状の結晶物が停滞することがあります。
また、栄養価が高いことで肥満の原因にもなります。 ウサギは肥満になると消化機能低下が起こりやすくなり、不正咬合や排便・排尿障害が出やすくなってしまいます
さらに、ペレットの過剰摂取により栄養過多になると、未形成の盲腸便が出ることがあります。
未形成の盲腸便は通常の便より大きく、柔らかく、ツンとする臭いが特徴の軟便です。
これは栄養過多により、余った栄養分が吸収されることなく外に出た便のため、ウサギが食べることはありません。
ケージ内のあちこちに軟便が落ちている場合は、まずは病院にかかり病気でないことを確認したうえで、ペレットの量を減らして牧草の量を増やす必要があります。
ウサギはグルメなので美味しいものを覚えるとそればかり食べるようになる傾向がありますが、欲しがった分だけ与えてしまうと、どんどん食事バランスが偏ってしまいます。
牧草への食いつきが悪くなることで疾患を誘発することもあるので、与える量は十分注意しましょう。
4.ペレットはどれくらい与えるといいの?
ペレットの量は体重をもとに計算します。
大人のウサギは体重の1〜1.5%、子ウサギは体重の2〜3%を目安とし、体重の増減・体格などを見ながら調整していきます。
例えば、1.5kgの大人ウサギであれば1日量が15gとなります。
800gの子ウサギであれば1日量は16〜32gになります。
子ウサギのうちは消化管も未熟なので1日量を2-3回に分けて与えましょう。
あくまでも目安なので、牧草や生野菜を食べる量・運動量・基礎代謝などによって必要量は変わってきます。
まずはこの計算式を目安に与えてみて、様子をみながら調整していきましょう。
ペレットはウサギの健康管理に必要な要素ですが、種類や量によってはトラブルの原因にもなります。
お家の子の状態に合わせたものを選ぶようにしましょう。
クロス動物医療センターではウサギへのペレットの与え方や食事管理についても相談いただくこともできます。
悩まれた際はぜひお気軽にご来院ください。
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監修 堀間莉萌獣医師
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連載記事一覧はこちら(タイトルをクリックするとリンク先へ)
【第1回】:ウサギのための食事の考え方の基本
【第2回】:牧草の選び方〜ウサギの健康を支える必須食品〜
【第3回】:生野菜をあげると下痢をする?:気を付けたい生野菜の与え方
【第4回】:食事量の注意点:〜ペレットはどれくらいあげたらいい?〜 ※本記事
【最終回】:おやつの上手な与え方〜与えすぎには要注意!〜