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2025.11.11
グループ
循環器科

【獣医師監修】小型犬に多い心臓病「僧帽弁閉鎖不全症」とは?

#病気の解説
小型犬に多い心臓病「僧帽弁閉鎖不全症」とは?

犬の心臓病は、どの犬種にとっても注意が必要ですが、トイプードルやチワワなど小型犬を飼っている方にとっては特にリスクを意識しておきたいところです。

犬の心臓病の中でも、特に多いのが「僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)」という病気で、弁膜症の代表的なものの一つです。高齢になるにつれて発症率が高まります。この病気は、早期発見と適切なケアが愛犬の寿命と生活の質(QOL)を大きく左右します。
「年のせいかな?」と見過ごしがちなサインを知り、病気と上手に付き合っていくための心構えを学びましょう。

僧帽弁閉鎖不全症とは?

心臓にある「僧帽弁」が加齢や遺伝などが原因で変性し、血液が逆流してしまうことで起こる病気です。「僧帽弁」とは心臓の左心房と左心室の間にある「弁」で、血液が逆流しないようにフタをする役割をしています。
僧帽弁閉鎖不全症の進行メカニズムは以下のようになります。

  1. 血液の逆流:弁がうまく閉じないため、血液が逆流する(心雑音の原因)。
  2. 心臓の拡大:逆流によって左心房に血液がたまり、心臓が拡大する。
  3. 咳の発生:拡大した心臓が気管を圧迫し、咳が出る。
  4. 呼吸困難:血液の渋滞が肺に及び、「肺水腫」を起こし、呼吸が苦しくなる。

見逃してはいけない!病気のサイン

病気の初期では、目立った症状はほとんどありません。そのため、日々の愛犬の様子を観察することが非常に重要です。

  • 乾いた咳が出る:夜間や早朝、興奮時に「カッ、カハッ」という乾いた咳が出ることが多いです。これは心臓が大きくなり気管を圧迫しているサインです。
  • 疲れやすい:散歩に行きたがらない、すぐに座り込む、以前より遊びたがらないなど、「年のせい」と見過ごされがちです。
  • 呼吸が速い:寝ている時やリラックスしている時の呼吸の回数が増えます。
  • 失神・虚脱:急に倒れる、意識を失うといった症状は、病気がかなり進行しているサインです。

早期発見のために最も大切なこと

症状が出る前に病気を見つけるには、「聴診」と「定期検査」、そして自宅での「呼吸数チェック」が不可欠です。

  • 病院での「聴診」と「定期検査」:僧帽弁閉鎖不全症の最も早いサインは、聴診器で聞くことができる「心雑音」です。症状がなくても、最低でも半年に一度、動物病院で聴診をしてもらいましょう。また必要に応じてレントゲンやエコーを用いた検査が必要になります。
  • 自宅での「呼吸数チェック」:愛犬が寝ている時やリラックスしている時に、1分間の呼吸数を測りましょう。正常値は、1分間に20回〜30回以下です(普段の回数を把握することが重要です)。これが40回以上続く場合は、呼吸が苦しい兆候の可能性があります。このような呼吸数の増加が見られた場合は、様子を見ずに動物病院に相談しましょう。

診断後の生活と心構え~愛犬のQOLのために~

心臓病と診断されても、獣医師と協力し病気のステージに合わせた適切なケアをすることで、わんちゃんは快適に長く過ごすことができます。

  •  薬:病気の進行を遅らせる薬(強心薬、血管拡張薬)や、肺水腫を防ぐ薬(利尿剤)を、獣医師の指示通りに飲ませることが治療の基本です。
  • 運動・お散歩:お散歩は大切ですが、心臓に負担をかける高負荷な運動や急激な興奮は出来るだけ控えましょう。わんちゃんが疲れた様子を見せたらすぐに休憩するなど、様子を見ながらお散歩に行きましょう。
  • 食事:病気のステージに応じて、ナトリウム(塩分)を制限した療法食が推奨される場合があります。獣医師の指導に従いましょう。

大切なご家族のために

小型犬に多い「僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)」は、早期に発見し適切なケアを始めることで、愛犬の生活の質(QOL)を大きく改善できる病気です。
日々の「咳」や「疲れやすさ」といった小さな変化を見逃さず、定期的な病院での健診と自宅での呼吸数チェックを習慣にしましょう。
不安なことがあれば獣医師に相談し、大切なご家族がより快適に、長く過ごせるように努めていきましょう。

最後に

クロス動物医療センターは東京・神奈川・埼玉で全10院を年中無休で開院しており、地域の皆さまに信頼される動物病院を目指し、一般診療から専門医診療まで幅広く力を入れています。些細なことでもいつでもお気軽にご連絡ください。