病気のコラム
【獣医師監修】ウサギにとって快適な生活環境とは?飼育管理マニュアル【第1回】ウサギのケージの選び方~飼育環境で大切な3つのポイントと基本アイテム~
ウサギの飼育では、ケージは生活の中心となる空間です。最も大切なのは、「安全で安心できる環境」を整えることです。
特にウサギの飼い方が初めての方は、環境づくりを丁寧に行うことが大切です。
①ウサギに必要なケージの大きさとは?
ケージは、ウサギが生活するうえでのメインスペースです。そのため、ウサギにとって「安全かつ安心できる空間」であることが大切です。ケージ選びで最も重要なのは「広さ」と「足へのやさしさ」です。
トイレやフード入れ、牧草入れ、給水器などの小物を設置したうえで、ウサギが横になってくつろぐことができるものを選びましょう。
目安となるサイズ感
- 成ウサギになった時の体長の2倍以上の広さ
- ウサギが後ろ足だけで立ち上がってもぶつからないくらいの高さ
これらを満たすものが理想です。極端に広すぎる必要はなく、運動させるためにはケージとは別にサークルを用意したり、室内を自由に歩かせたりすることで行います。
子ウサギのサイズ感ではなく、成長したウサギのサイズ感を把握するため、将来どれくらいの大きさになるかはお迎えするときに必ず確認しておきましょう。
②ウサギの足にやさしい「すのこ」の選び方
ケージには多くの場合、すのこがセットでついています。すのこは金網、プラスチック、木製などの種類があります。ウサギは犬猫と異なり足の裏に肉球がなく、柔らかい毛で覆われています。そのため、硬すぎる材質は毛が擦り切れてしまい、足底炎(ソアホック)と呼ばれる、足裏の皮膚トラブルの原因になります。
長期的に使う物なので、足への負担が少なく手入れがしやすいものを選びましょう。
それぞれのすのこの特徴は以下の通りです。
| 材質 | メリット | デメリット |
| 金属製の金網 | 掃除・消毒しやすい | 足裏の毛が擦り切れやすい |
| プラスチック製 | 掃除・消毒しやすい足裏が保護しやすい | トイレが定まらない子は体が尿で汚れやすいかじることで破損することがある |
| 木製 | 丈夫で壊れにくい足裏への負担は金網より少ない | 洗う際に乾きにくく手入れに手間がかかるかじることで角が鋭利になることがある(やすりでお手入れする必要がある) |
③掃除しやすいケージ構造がおすすめな理由
ウサギは感染症などに弱いため、清潔に保つためには毎日の掃除がしやすいというのも重要なポイントです。ケージのお掃除では、排便や排尿の様子の確認、食事をどれだけ食べているかを見ることで健康チェックにもつながります。些細な異変を見逃さないためにも、毎日のお掃除は欠かせません。ウサギにも飼い主にもやさしいケージを探していきましょう。
おすすめするケージのポイント
- 足裏にやさしいプラスチックすのこが付属している
- 下のトレイが引き出しになっていて取り外ししやすい
- ケージの下にキャスターが付いている

ケージ内にそろえたい基本アイテム
ケージ内に設置するものはトイレ、フード入れ、牧草入れ、給水器、ハウスなどがあります。すべてが必要なわけではありませんが、最初は一通り揃えておき、ウサギ本人が気に入るものを置くようにしましょう。
それぞれについて簡単に説明していきます。
ウサギが使いやすいトイレの選び方
使い勝手の良いトイレは、三角や四角になっており、ケージの角に置きやすいものとなります。ペットシーツはかじってしまう子が多いので、はみ出さないように敷く必要があります。トイレ用すのこは金属・プラスチック両方ありますが、どちらでもかまいません。
ウサギがのっても安定感があり、しっかり踏ん張ることのできるゆとりのあるサイズをおすすめします。小さすぎると使ってくれないこともあるので、成長した時のサイズを見越して用意しましょう。
性格によってはトイレをかじったり、投げたりする子もいます。ケージに固定できるフックがついたものや、陶器でできている重量感のあるものもおすすめです。
ウサギの尿は結晶化しやすく容器にこびりつくので、毎日のお手入れがしやすいものを選びましょう。
避けた方がいいトイレ
犬用のペットシーツをはめ込んで使うタイプのトイレはペットシーツとの距離が近く、かじってしまうためおすすめできません。
フード入れ・牧草入れはどれを選ぶ?
フード入れにはペレットや野菜を入れるため、洗いやすく、適度な重さがあるものが好ましいでしょう。フードがほしくてお皿を投げたり振り回したりする子もいるので、ケージに固定できるものや陶器でできているものをおすすめします。
牧草はケージの床に直に置いても構いませんが、糞尿で汚れたりすのこから落ちてしまうことも多いです。そのため、フィーダーを使うことをおすすめします。木製のものや金属でできたものがあります。かじってしまうこともあるので、歯への悪影響が少ない木製のものが安心です。フィーダーから引っ張り出して食べるのも、遊びの一環となり、楽しんでくれる子が多いのも利点の一つです。
ウサギの給水器|ボトルと器どちらがいい?
ボトルタイプ、器タイプがあります。どちらでも上手に飲める子もいますが、ボトルタイプは先端が細く、うまく飲めなかったりこぼしてしまったりすることがあります。
ボトルで水をあまり飲んでくれない子の場合は、器へ切り替えることで飲水量が増えることもあります。ウサギは飲水量が少なくなりやすく、将来的に腎臓病などを引き起こすこともあるため、できるだけ飲水量をしっかり確保できるようにしておくと安心です。
ウサギが安心できるハウスの種類と注意点
ウサギは本来穴の中で生活する生き物のため、隠れる場所があると安心できます。ハウスは木製、陶器製、布製などいくつか種類がありますが、それぞれの特徴やウサギの性格を加味して選ぶ必要があります。
木製
丈夫でかじっても安心な素材でおすすめですが、糞尿で汚れた場合のお手入れは洗うと乾きにくく、やや手間がかかります。また、上に乗って遊ぶ子もいるため、年齢が上がってきた時にはケガの原因となることもあるため注意しましょう。
陶器製
丈夫でお手入れもしやすいですが、湿気がこもりやすいため、こまめなお手入れが必要です。
布製
柔らかく、材質を好む子が多いです。しかし、汚れやすく、かじったり食べたりする子も多いため、常にケージ内に置くことはおすすめできません。
「ウサギ用グッズ」でも注意が必要な理由
ウサギ用として販売されている用品はたくさんありますが、必ずしも安全というわけではないので注意が必要です。よくあるケージの構造として、ロフトや網のトンネルがついたものがあり、高いところが好きなウサギは好んで使用します。しかし、高い位置に設置されている場合、落下や爪が引っかかるなどして骨折するリスクがあります。若い成ウサギは筋肉が発達しているため、予期せぬ事態にパニックを起こした際には体の動きに骨が耐えられず、骨折してしまうことがあります。
また、高齢になったウサギは筋力や骨密度が低下し、さらに変形性脊椎症や進行性運動神経麻痺などを発症することもあり、若いころと同じようには体を動かせなくなっていきます。そうなった際にはよりケガのリスクが高くなるので、あらかじめ外しておくことをおすすめします。
運動不足になるのでは?と心配されるかもしれませんが、サークルや室内など安全な広いスペースで運動させてあげることができれば、ケージ内であえて運動をさせなくても大丈夫です。
まとめ
第1回では、ウサギの生活スペースについて解説しました。絶対に正解、というものが決まっているわけではもちろんありません。おうちの子に合わせた生活環境を整えてあげましょう。
お悩みの際は、いつでもお気軽にご相談ください。
連載記事一覧はこちら
- 【第1回:本記事】ウサギのケージの選び方:飼育環境で大切な3つのポイントと基本アイテム
- 【第2回】ウサギの温度管理とケージの置き場所:快適に過ごせる室温の目安とは?
- 【第3回】ウサギの室内散歩:安全に行うためのポイント
コラムの執筆を担当した獣医師紹介
堀間莉萌獣医師
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