病気のコラム
2020.04.01
グループ
皮膚科
腸内細菌が食物アレルギーを予防するのか?
#病気の解説
dermatology report 東京動物アレルギーセンター

はじめに
「犬のアレルギー性皮膚疾患と言えばアトピーが多い」と思われていますが、臨床現場の最前線で犬と猫のアレルギーを診察して感じることは、「実は食物アレルギーがとても多い」ということです。 アトピー性皮膚炎の治療は様々ですが、食物アレルギーの治療はシンプルで「ダメなものを食べない」です。犬の食物アレルギーについて
食物アレルギーは、例えるなら火事の出火元を的確に見極め消化活動をしなければならないのと同じです。ガソリンを撒き散らしながら消防車で放水活動してもなかなか鎮火しないですね。 ヒトの食物アレルギーの出火元(原因トップ3)は「鶏卵」「乳製品」「小麦」です。 ちなみに犬の食物アレルギーの出火元(原因トップ3)は「大豆」「米」「ジャガイモ」です。犬の食物アレルギーと腸内細菌の研究について
米国シカゴ大学の研究チームは、「腸内細菌の中でもクロストリジウム属の細菌が食物アレルギーを予防するカギを握っている」というセンセーショナルな研究結果を発表しました。 腸内細菌が食物アレルギーにどう影響するかを調べるために研究チームは、- 腸内細菌が全く存在しない無菌マウス
- 抗生物質を投与して腸内細菌を著しく減らしたマウス
- 正常の腸内細菌をもつ正常マウス
研究結果について
1)「無菌マウス」と2)「抗生物質で腸内細菌を減らしたマウス」は、3)「正常マウス」に比べてアレルギー反応が強く出る(抗体が多くできる)ことがわかりました。 つまり、「無菌マウス」と「抗生物質で治療したマウス」は、強い免疫反応を起こしたのです。 次に、アレルギー反応を起こした「無菌マウス」と「抗生物質で治療したマウス」に、ヒトや動物の腸管内に常在しているクロストリジウム菌を注入すると、食物アレルゲンへの反応を減らせました。 ところが、最も多い腸内細菌であるバクテロイデス菌を注入しても、反応を減らすことはできませんでした。 つまり、クロストリジウム属の細菌が食物アレルギーを予防するはたらきをもっていることがわかりました。 さらに研究チームは、クロストリジウム属の細菌が免疫に関わるタンパク質を分泌することによって、アレルゲンが腸の粘膜を通りづらくなることも明らかにしました。考察
この論文から分かったことは、- 6週間の抗生物質の内服により、糞便と回腸の細菌数は減り、組成と多様性が変わった。
- 抗生物質を投与したマウス、または腸内細菌叢のないマウスで食物抗原に対する感作が増加することが分かった。
- さらに、クロストリジウム属の細菌には、食物アレルゲンが血液中に入ってアレルギー反応を起こすことを防ぐ効果を期待できそうだと言うことが分かった。