病気のコラム
【獣医師監修】ウサギにとって快適な生活環境とは?飼育管理マニュアル【第3回】:ウサギの室内散歩~安全に行うためのポイント〜

ウサギは基本的にケージでの飼育を推奨していますが、それだけだと運動不足になり、感情も豊かには育ちません。犬のようには屋外に出ないウサギにとって、運動をさせることはとてもハードルが高いです。しかし、幼いうちから人間と遊ぶ習慣がついているウサギは成長してからも活発に動き、遊びが運動へとつながりやすく、筋力の低下や肥満の予防になります。楽しいウサギライフを送るためにも、1日に1回は室内でのお散歩を行い、飼い主と一緒に遊ぶ時間を確保しましょう。
ウサギに室内散歩は必要?メリットとデメリット
室内散歩のメリット
- 外敵や感染症などの危険が少ない環境で運動させられる
- ケージ外の環境に慣れやすくなる
- 人と一緒に過ごすことで人との距離感を理解し、コミュニケーションをとるようになる
室内散歩のデメリット
- 環境を整えないと危険な物(電気コードや観葉植物、段差、滑る床など)がたくさんある
- 散歩中に人間が踏んでしまうなどの事故が起こることがある
ただし、室内散歩はウサギのストレス解消や運動不足につながるため、できるだけ毎日行うことを当院では推奨しています。そのために気を付けたいことを順番に説明していきます。
ウサギが安全に歩ける床環境とは
ウサギの足裏は軟らかい毛で覆われています。そのため、フローリングなどのつるつるした床では滑りやすく、うまく歩くことができません。慣れてくると上手に歩ける子もいますが、走ったりジャンプしたりする際には滑って怪我や骨折をしてしまうこともあります。できるだけ滑りにくい床材にしましょう。
しかし、ウサギがかじって食べてしまう危険性があるので、ウレタンマットはおすすめできません。毛足の短いラグなどがおすすめです。生活スペースのすべての床にラグを敷くことは難しいため、スペースを区切ってお散歩エリアを作る、サークルを利用するなどの工夫をするとよいでしょう。
設置しておいた方がよい物
お散歩エリアはケージと直結した場所になるようにし、自由に出入りできるようにしておきましょう。ケージの入口が段差になっている場合はスロープなどを置いてあげましょう。
また、ケージの外にもトイレや水飲み場を用意し、隠れられるトンネルやハウスなども置いておきましょう。牧草で作ったおもちゃやかじり木などもおすすめです。
室内散歩前に必ずチェックしたい危険物
基本的にウサギはなんでもかじります。それが危険かどうかの判断はウサギにはできないため、かじったら危険なものはあらかじめ排除しておくことが重要です。
①電気コード類
コード類はかじり心地がよいのか、大抵の子がかじります。コンセントが刺さっている場合は感電のリスクもあり、最悪の場合命を落としてしまうこともあります。コンセントに巻くタイプのカバーはカバーごとかじられてしまうため、おすすめできません。
お散歩エリア内にはコード類の露出がないように箱にしまう、届かない部分の壁にかける、コード類がある場所に行けないように仕切りを作るなど、工夫しておくと安心です。
②観葉植物
ウサギって危険な植物は避けるんでしょう?と思われる方もいるかと思いますが、残念ながら室内飼育されているウサギにそのような危機意識はほぼありません。届く場所においてある植物は食べてしまう危険性があり、場合によっては重度な中毒症状を起こすこともあります。お散歩エリアには基本的には植物類は置かないようにしましょう。
③人間が使う小物や食べ物
ぬいぐるみや布製品はもちろん、リモコンやヘアゴムなどのゴム製品、子供が使用する様々なおもちゃ、クレヨン、絵具など、人間が使用するすべての物がウサギにとっては真新しく、興味をそそります。しかし、中毒を起こすものや、消化管に詰まってしまう物も多く存在します。お散歩エリアにはそのようなものがないように片づけておくことをおすすめします。
④ソファー、ベッドなどの段差
ウサギは高いところにのぼることが大好きです。しかし、いくらジャンプ力があるとはいえ、固い床に着地する際は怪我をするリスクがとても高くなります。特に幼齢の子や高齢の子は骨折のリスクがあるため、できるだけ段差はなくすようにしましょう。
それでは運動不足になるのでは?と思われるかもしれませんが、ウサギがのぼっても安全な高さのトンネルや段差を用意し、そこで遊んでもらうことでしっかり運動させることが可能です。必要以上に高い段差は怪我のリスクの方が高くなることを理解しておきましょう。
⑤壁や柱
ウサギがかじるのは物だけではありません。壁紙や柱などもかじりやすく、1回かじり始めると部屋がぼろぼろになるまでかじり続けてしまうこともあります。また、それらを食べてしまうと、重度なうっ滞になるリスクもあります。
壁紙や柱はかじられないようにあらかじめガードしておくと安心です。ガードに使う材料はかじっても安全な木製のサークルなどがおすすめです。
このように、室内にはウサギにとって危険なものが多く存在します。できるだけ危険を避けるため、お散歩エリアは区切り、人間の生活スペースとは分けておくことをおすすめします。
当院が「ケージ飼育」をおすすめする理由
ウサギを犬や猫のように放し飼いをされている方もいるかと思いますが、当院では基本的にはケージでの飼育を推奨しています。これには理由があり、上記のように危険物が存在すること、24時間ウサギにつきっきりで様子を見ることが難しいこと、不在時に予期せぬ出来事が起こる可能性があることなどです。
ウサギは人間の理解を超えた行動を不意にすることがあるので注意が必要です。
わたしが昔飼っていたウサギも、少し目を離した隙に本棚の一番上に登っていたことがありました。そんな時に、ウサギを驚かせずにそっとおろしてあげるのは難しく、びっくりしたウサギがジャンプなんてしようものなら大怪我をしてしまうでしょう。幸いその時はゆっくりおろしてあげることができましたが、一歩間違えたら大惨事になっていたと思い、肝が冷えたのを覚えています。
また、不在時に地震などの災害が起こった際も、丈夫なケージの中にいてくれれば安心ですが、部屋を自由にさせていると、どこかで物に押しつぶされていないか、無事でいてくれているか、不安になりますよね。ケージでの飼育を推奨しているのは、ウサギの安心・安全を守るためでもあります。
放し飼いの方が運動量が増えるように思われがちですが、意外とそんなことはありません。常に広いスペースにいる場合、新鮮味が薄れ、いつもの安心できる場所でのんびり過ごしていることが多いように感じられます。ケージ飼育の場合は、部屋に出してもらえることが「嬉しい」「楽しい」ことと認識されやすくなります。些細なきっかけではありますが、日常生活に刺激をもたらしてくれるので、当院ではケージ飼育をおすすめしています。
まとめ
ウサギにとって快適な空間をつくることは飼い主の安心にもつながります。
注意することが多く、大変に思われるかもしれませんが、最初にしっかり把握しておくことで防げる事故や怪我はたくさんあります。
楽しいウサギライフを満喫するためにも、少しずつ意識していきましょう。
当院ではウサギの飼育相談も承っています。
こちらに書かれていないことでも、気になること、心配なことなどがあればいつでもお気軽にご相談ください。
連載記事一覧はこちら
- 【第1回】ウサギのケージの選び方:飼育環境で大切な3つのポイントと基本アイテム
- 【第2回】ウサギの温度管理とケージの置き場所:快適に過ごせる室温の目安とは?
- 【第3回:本記事】ウサギの室内散歩:安全に行うためのポイント
コラムの執筆を担当した獣医師紹介
堀間莉萌獣医師
- プロフィールはこちらからご確認ください。