病気のコラム
第1回:【原因・リスク編】たかが口臭と侮れない!愛犬の寿命を蝕む「歯周病」の恐怖
「最近、うちの子の口が少し臭うかも…?」そう思ったことはありませんか?
人間は毎食後に歯を磨く習慣がありますが、ワンちゃんはどうでしょうか。実は、お口のお手入れを怠ることは、単なる「お口のトラブル」にとどまらず、将来的に命に関わる問題へと発展する可能性があります。今回は、人と犬の決定的な違いと、放置すると怖い歯の病気について解説します。
人と動物の口の違い
まず、人と動物の口の中の違いを整理してみましょう。
| 人 | 犬 | 猫 | |
| 歯の数 | 32本 | 42本 | 30本 |
| 主な歯の役割 | すり潰すこと | 引き裂くこと | 引き裂くこと |
| 口腔環境(唾液) | 酸性〜中性 | 中性〜アルカリ性 | 中性〜アルカリ性 |
このように歯の本数から役割まで、人とは大きく異なります。人は食物をすり潰して消化を助ける構造であるのに対し、犬や猫は肉を引き裂くことに特化した歯を持っています。
さらに重要なのが口腔内環境です。人も動物も口の中には細菌が常在していますが、人と犬では「住んでいる細菌の世界(環境)」が違います。この違いが、「虫歯になりやすいか」「歯周病になりやすいか」の違いに直結しています。
虫歯と歯周病の違い
虫歯は、主に炭水化物(糖質)を栄養源として細菌が酸を産生し、歯が溶かされることで発生します。
しかし、犬は以下の理由から「虫歯になりにくい」とされています。
- 人ほど炭水化物を摂取する機会が少ない
- 尖った歯が多く、食べかすが停滞しにくい
- 唾液がアルカリ性で、酸が中和されやすい
- 虫歯の原因となる細菌自体が少ない
その一方で、犬は人と比較して「歯周病には非常になりやすい」という真逆の特徴があります。ここが非常に重要なポイントです。
犬の歯周病とは
歯周病は、食べかすを元に細菌が繁殖し、「バイオフィルム(ヌメり)」を形成することから始まります(排水口のぬめりのようなものです)。これが「歯垢(プラーク)」です。
この歯垢に唾液中のミネラルが沈着すると、硬い「歯石」へと変化します。歯石の表面はザラザラしているため、さらに歯垢が付着しやすくなり、細菌の温床となります。そこから歯茎が赤く腫れる「歯肉炎」が起こり、進行すると歯を支える骨(歯槽骨)が溶かされ、歯のぐらつきや脱落を引き起こします。
さらに進行すると、取り返しのつかない症状に発展します。
- 犬歯の部位: 骨が溶け、口と鼻が繋がって重度の鼻炎を引き起こす
- 奥歯の部位: 目の下に膿が溜まり、顔が腫れたり皮膚が破裂したりする
また、歯周病菌は血流に乗って呼吸器・消化器・心臓などの臓器へ悪影響を及ぼす可能性もあります。単なる口の病気ではなく、全身の寿命を縮める恐ろしい病気、それが歯周病の本質です。
まとめ
愛犬の口臭は、このドミノ倒しのような病気が始まっている「サイン」かもしれません。
では、この恐ろしい歯周病から愛犬を守るためには、どのようなケアが必要なのでしょうか?
次回の【対策・治療編】では、今日から自宅でできるデンタルケアのコツと、病院で行う根本的な治療について詳しく解説します。(第2回へ続く)
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